1.新事業計画に沿ったホームページの内容骨子
1.事業計画の概要
- パンデミックや天災時には、発電・送電機能が麻痺し数日間の停電が発生する。当社は電気工事会 社としての強みを生かし、停電期間も企業が策定したBCPの遂行を支援する太陽光発電と蓄電池を主とするシステムを開発、提供することを目的とし、多くの人に新事業を周知しお客様を新事業の顧客としたい。
2.新事業への強みについて
- 専門技術を要する高圧電気の分野で現場監督の説明がわかりやすいと、顧客の設備担当者から大きな信頼を頂いている。
- 現場監督の多能工化に取り組み、社内セミナーームで社内・社外講師による研修会が習慣化している。
- 現場作業員も社内で育成し、外注に依存しないため、顧客満足度が高い
- 顧客の国や県の省エネ推進の補助金取得をサ ポート。提案、設計、施工までを当社で担当 できる。
- 横浜市から横浜型地域貢献企業として認定い ただいたご縁で、横浜市経済局中小企業振興課 からの応援を頂いている
- 自己資本比率高く財務が健全である。
3.新事業への弱みについて
- ここ数年、省エネには取り組んできたが、地球 温暖化に有効といわれる「創エネ、蓄エネ」を顧客に提供するサービスに遅れている。
- 事業の多角化が遅れていたことでコロナによる企業ニーズの変化に対応できない
- 先端的なデジタル技術の活用等に遅れてきた
4.新事業への機会について
- コロナ禍で多くの企業が今までよりもリスク管理の機運が強まっている
- 昨今の異常気象や地震リスクによりBCPに対する意識が高まっている。
- 政府は2030年までに地球温暖化ガスを46%削 減と発表。企業にもその対応が求められている
5.脅威
- コロナ禍で顧客の設備投資意欲が減退し、当社への既存工事の発注が少なくなっている
2.事業再構築の具体的内容
1.再構築後の顧客
- 現状と同じく、自社ビルおよび工場を所有する企業および私立学校法人とします。当初は、当社とす でに取引のある企業をターゲットとし、その後、マーケティング活動によって拡大します。また、管理 会社様が管理している場合は、管理会社様と一緒にそのビルや工場のオーナー様に提案をします。
2.事業再構築後の提供サービス
台風や地震、場合によってはコロナを上回るパンデミックによって、外部からの電気供給がストップ した際にも、企業の事業活動継続計画(BCP) を実現とする停電時BCP支援システムを開発し、提 供します。
3.具体的には
- 太陽光発電システムと大容量蓄電池、BEMS(ビルエネルギー管理システム)から構築される停電時BCP支援システムを販売・施工設置します。
- 顧客に外部からの電源供給がストップしても継続して使用する必要のある通信機器、照明器具、設備等々を選択してもらい、それらの機器への電源供給を蓄電池から行うように配線します。また、 選択機器の中には「エレベーター」は優先的に加えます。
- デジタルサイネージの設置を合わせて提案。テレビ放送の文字多重放送を受信したり、社内災害 本部からの指示・連絡を社員に伝えるなど、正確な社内情報、交通情報や火災情報を提供し、社員や地域住民の不安やパニックを抑えます。 ii.平時には太陽光発電システムで発電した電気を蓄電池に貯め、余剰電気は(i)で配線した機器に供給され、電気料の削減につなげます。
- 外部からの電源供給が止まった瞬時に、(i)で選定した機器には蓄電池からの電力供給に切り替えます。 v. 夜間や曇天時には蓄電池の電力によって機器の運用を継続、太陽が出れば蓄電池に電気を蓄電し続け、外部電源復旧までの期間中、電力供給を継続して可能とします。
4.太陽が出ている12時間の間に
- 太陽光発電システムは15kwの電力を発電し、その内10kwは蓄電池に貯えられ、残り約5kwで、PCや通信機器を停電時中でも稼働させます。
- 夜間には、昼間に電力を蓄えた蓄電池からPCや通信機器、加えて照明器具に供給され12時間稼働させます。
5.再構築事業の詳細
- 市場のニッチ性:太陽光発電システムを提供している企業や、蓄電池を提供している企業は多いですが、この2つを組み合わせて、停電時に昼夜問わず継続的に電力を継続するシステムはまだ世の中にそれほど多く普及しておらず、特に既存建築物に設置することを提 供している電気工事業は多く存在しませんので、ニッチな市場分野と言えます。
マーケティング
- 事業当初は、当社とお取引のある企業様、学校法人様をターゲットにしますが、その後は、マーケティングを実施することで、当社との新規取引のお客様も開拓したいと 考えています。
そのためには、総務担当者が購読する「設備と管理(オーム社)」「ビル新聞(ビ ル新聞社)」「月間総務(月間総務社)」に広告を打つとともに、ネット上で検索さ れることが予想されるキーワードを散りばめたランディングページを作成する予定 です。
サービスの独自性
- 停電時に電力を供給するシステムとしては、無停電電源装置(UPS)が定番ですが、 [#j9faea77]
当社が提供する停電時BCP支援システムとは次の点で違いがあります。
電力供給時間 停電後の機器接続 供給台数 平常時の節電 エレベーターへの設置 市民への電力供給
UPS 数時間 不可能 機器一台に対してUPS一台 特になし 「不可能 不可能
停電時BCP支援システム 太陽が昼間で出ていれば永遠 コンセントによって容量内なら可能 複数機器に対して電力を共有 余剰電力によって売電量を削減可能 後付けで可能に 可能 また、停電時BCP支援システムと同様な機能を提供している建設会社も存在しますが、その多くは新 築時での対応が多くを占めます。多くの企業のニーズが見込まれる既存ビルに後付けで停電時BCP支援 システムを装備したい、というニーズに応えられる中小企業はまだ多く存在しません。
厳格な品質管理:既存事業である高圧電力設備や照明器具の設置において、当社のクレーム率は0%に
近いです。それは、当社独自にチェックリストを作成し、施工時に現場監督がリスト に基づく品質管理を実施しているからです。このような施工現場でチェックリスト を作成し、その後リストによって厳格な施工品質の管理を図る手法を当社は取得し ていますので、再起構築事業にも応用します。
4.再構築事業が当社の「機会」を捉えられている理由
i.2018年の北海道の震度7による地震によって北海道全エリアで電力供給がストップ、2019年の台風 15号による千葉県での長期停電、2020年も九州地方での台風10号による停電など、異常気象や地震災 害による停電リスクが身近なものになり企業のBCP担当者はその対策に頭を悩ましています。 i.そのことに増して、コロナ禍によってリスクに対する日常の対策への優先順位が上がっているこ
と、企業の中で予算を確保する動きが活性しています。 iti, 一般企業以外に、学校法人は文部科学省から震災時のBCP対策が求められ、環境省からは補助金
も支給されています。 iv.2019年7月に中小企業強靭化法が施行され、この法制度である「事業継続力強化計画」の認定が始ま
っています。 v.このシステムは平時には低炭素技術の中核となる「省エネ、創エネ、畜エネ」の3要素の内、「創 エネ、畜エネ」を担うものであるため、政府の2030年までに、温暖化ガス46%削減の基本政策を実現 するものとなります。
5.再構築事業が当社の「強み」を活かせる理由
- 当社の現場監督は、既存事業から顧客からそのわかりやすい説明から「電気に関するコンサルタン ト」と認知されています。この停電時BCP支援システムは顧客にとっても未知の設備のため当社と の信頼関係と分かりやすい説明が導入の武器となります。
- この分野はまだ手掛けている電気工会社が少ない中で、常にメーカーやコンサルタントを招き最新 技術の研究会を実施している当社なら、自社にて研究開発を進め、施工方法やシステムを確立するこ とができます。 i.当社は、メーカーのパナソニック様から過去にリニューアル大賞で表彰されるなど協力関係ができ
ています。この強力な事業関係を新システムの開発、施工に活用できます。 iv.当社は、横浜市より横浜型地域貢献企業として認定いただいたご縁で、横浜市経済局中小企業振興 課からの応援を頂いています。本事業で当社にない経営資源を横浜市職員様にご依頼し、京浜工業地 区に所在する高度な技術を有する中小製造業様とマッチングできる可能性があります。 v.自己資本比率が58%と高く、財務的基盤を心配することなく事を推進できます。
6.新規事業で生かせる技術的能力 スタッフ等の業歴活かせる理由
- 社員32名中、現場監督が9名。その内7名は電気工事での難関資格である1級電気工事施工管理技士を有しています。既存事業の落ち込みにより、人員に現在余裕があるため、この中から本事業の専任担当者を任用し、 責任をもたせた事業推進が可能になります。 ii.任命予定の現場監督は、エネルギー使用合理化等事業者支援事業(通称エネ合補助金)を顧客が活 用できるように申請の支援をした経験があり、また当社は国からエネルギー管理支援サービスを提 供する事業者(通称エネマネ事業者)に認定されるなど、国策を活用したシステム導入を得意として います。
7.既存事業と新事業の相乗効果
- 再構築事業は、既存事業を衰退させるものではありません。既存事業で解決していたくなった設 備の更新や、電気の省エネ化といったニーズも、本事業で解決しようとしているBCP対策へのニ ーズも、同様に企業の設備担当者、総務担当者に課せられた喫緊の課題になっています。そのため、 1つのニーズを解決することで当社と顧客担当者様に構築された信頼感を土台にすれば、同じ企業様 から継続して受注を頂けるため、双方の事業がシナジーをもって発展することが可能となります。
8.選択と集中によるリソースの最適化
- 取締役1名を事業統括責任者に任命、社員32名中、現場監督が9名、現場技術者が17名の中から、現場監督の内1名を事業専任者、技術職2名を現場専任者とすることで、人員リソースの選択と集中を図ります。 i.太陽光発電システムと蓄電池の設置、個々の機器の接続、停電時の電源切り替え等の技術は、当社は経験がありません。そのため、補助事業開始時より施工技術の取得や研究開発等が必要となります。これらの担当者を、この技術取得と研究開発に、受注が来る前から専任させます。 ii.本事業に合わせて当社事務所の階下を新たに借り増しします。そこに、太陽光システムと蓄電池、災害情報デジタルサイネージ、停電時にも稼働させたい機器を設置し、上記のシステムが正常に稼働 するかを検証するラボスペースを確保します。建物設備の一部を本事業のためのラボ、事務所として リソースを分割します。ラボスペースは同時にショールーム機能を持たせ、顧客が未知の設備となる 本事業を顧客へプレゼンするスペースとしても活用します。
9.デジタル技術の活用
- 本事業で必要な技術は、施工技術だけでなく、企業様が停電時にも継続させる必要のある機器の消 費電力と継続必要時間から算出して、どれだけの容量の太陽光発電システム、蓄電池が必要かを提 案するスキルが必要となります。当初は、Excel等で計算式を試行錯誤すると予想されますが、事 業推進中には大量のデータを処理、蓄積するために、デジタル技術を用いてデータベースを構築、活用する必要がでてくると考えています。 1.また、当業界ではすでにビルの消費電力量を、どの設備が、どの時間に、どれくらいの電力を消費しているかを管理するデジタル技術としてBuilding and Energy Management System(通称BEMS) が導入されています。停電時BCP支援システムにおいては、個々の設備や機器の消費だけではな く、太陽光発電システムによってどれだけ発電されているかや、蓄電池にどれだけの電気が蓄積さ れているのかを管理するために、BEMSというデジタル技術の活用が不可欠となります。事業アイディアとして、当社がエネルギーマネジメント事業者として、インターネット回線を通じて遠隔でBEMSの状況を管理することも請負うビジネスになるかもしれません。
10.低炭素技術の活用
- 停電時BCP支援システム導入の目的は、主として非常時のBCP対策ですが、平時においては 太陽光発電システムが発電し、蓄電池への充電を上回る余剰電力は、日常の消費に回わすことがで きます。このことは、太陽光発電システムによって生み出させる再生可能エネルギーによって、電力 会社が供給する電力の消費量を少なくすることになりますので、本事業は社会的に低酸素技術の活 用を広める事業となります。
11.経済社会にとって特に需要な技術の活用
- 本事業再構築事業は、次の2つの政府が進める経済社会の課題解決に貢献できます。 (1)国土強靭化(レジリエンスジャパン)計画の推進 (2) 2030年度における温室効果ガス削減目標を13年度比で46%削減(パリ協定のリーダーとなる) 停電時BCP支援システムは、この2つの国が推進する課題を解決するために重要な技術と言え る1太陽光発電システム、2蓄電池、3BEMSの活用が中核となっています。
12.地域のイノベーションへの貢献
- 当社が本事業でターゲットと考えている、ビル、工場、学校は、各地域においてランドマーク的な 存在となっていることも多くあります。各地方自治体は、これらのランドマークを有する企業や学校と、災害時の支援協定を進めており、企業や学校も地域貢献の一環として進んで協力しています。しかし、現状の協力とは避難所の提供や飲食物の提供が主であり、エネルギーの供給まで協力でき ている企業は存在しません。 被災者の多くが不安に思うことは、スマートフォンの電池がなくなるこ とでパーソナルな情報が遮断することと言われています。当社が推進する停電時BCP支援システムが備わった企業であれば、停電時にも太陽光で発電し た電気の一部を市民のためのスマートフォン充電の電力として供給できるかもしれません。このこ とは、地域の企業の在り方についてイノベーションをもたらすことに貢献できると考えています。
13.グローバル市場への展開
- 地球温暖化の影響と思われる異常気象は、日本だけでなく世界各地で起こっています。そのため、 BCPは我が国だけではなく、世界共通の課題をなると考えています。隣国の韓国や台湾はもちろん、 中国、タイ、インドネシアといった急速に発展している都市部や工業地帯では、当社が今後蓄積する データや技術は活用できると考えています。場合によっては、海外支店を出すまでに発展できる事業 になる可能性を考えています。
14.地域の特性を活かした高い付加価値の創出
- 当社は、横浜市の湾岸地域に位置しており、京浜工業地区の中心に所在します。この京浜工業地区 は中小製造業の産業集積であります。
当社は横浜市さんに横浜型地域貢献企業として認定いただいているご縁で、横浜市経済局中小企 業振興課の職員様と親しくさせていただき、これまでも経営診断の受診、経営専門家の派遣など、 様々な形で応援を頂いております。
今回、震災時にエレベーターでの閉じ込めを防止するために、直近階に移動しドアを空けるだけ の最小限のエネルギーを送り込む施工の実現に苦労することが予測されています。様々な強みを持 つ中小製造業が多数頑張っている地域の特性を活かし、横浜市経済局中小企業振興課様にマッチン グを依頼し、共同開発することで付加価値を創出できると考えています。
15.事業者等への経済波及効果 地域の経済成長
- 当社がこれまで提供してきた高圧電気設備や照明設備の施工は、日本全国で提供する企業があり 技術の差はあれ同じものを供給してきました。しかし、停電時BCP支援システムは、ただ、太陽光 発電システムと蓄電池といったハードを提供すればよいものではなく、継続必要機器から許容電力
量の計算や停電時の瞬時接続等ソフト的なノウハウが必要となるものです。そのため、当社にしか提 供できないため、従来の当社のサービス範囲を超える顧客からの要請される可能性もあります。
その場合、当社の現場監督がソフト面を担い、施工について各地域に協力会社を作り、その社員に 協力してもらうということも計画しています。このことで、その地域の電気工事会社の売上に貢献 し、雇用の活性化や経済発展に微力ながら貢献できると考えています。
また、先述の通り、停電時BCP支援システムを導入した地方企業様が、災害時に地域の電力供給 者となり地域社会に貢献できることで、その企業の人気度が向上し、より良い人財の採用が可能とな ったり、地域での売上高が向上したりといった、そのような地域の経済成長に貢献できる可能性もあ ると考えています。
16.高度なプラットフォームの構築
- 次の2つの優秀なパートナー企業と連携しながら再構築事業を進めたいと考えています。 一つ目は、蓄電池システムを提供するメーカー様との連携です。後ほど、述べますが当社がこの事 業を実現する上で、なんとしても克服したい課題があります。それは、エレベーター電源と蓄電池の 接続です。以前、この課題が解決可能かを某蓄電池メーカー様に問い合わせたところ、今まで試みた ことがない、という回答でした。本事業に取り組む中で、震災時にエレベーターでの閉じ込めを防止 するために、直近階に移動しドアを空けるだけの最低の電力を供給する仕組みをメーカー様と協同 で開発したいと考えています。最初は、パナソニック(株)エナジーシステム事業部様との技術協力を 得ますが、もし課題が解決しない場合は、蓄電池に強みを有するニチコン社様や京セラ様との協業 を図ります。
また、先に述べたように、横浜市さんに横浜型地域貢献企業として認定いただいているご縁で、相 談させいただき京浜工業地帯に所在する蓄電池やエレベーターの駆動に強い中小企業様を紹介いた だき、共同開発することで課題を克服します。このことは当社だけではなし得ない、高い生産性の実 現と京浜工業地帯の中小企業様を通じた経済的波及効果が期待できます。
二つ目は、先述の通り、地域の優秀な電気工事会社との連携です。当社技術職社員を、工事のため に移動させるコストや働き方への負担を考えると、地域ごとに提携できる電気工事会社と連携した いと考えています。移動時間の削減や慣れない地域での活動などの負担が削減できることから、当 社に高い生産性向上が期待できます。また、地域電気工事会社が不慣れな停電時必要電気容量の計算やまだ普及していない蓄電池の 設置などの本事業の核となるノウハウ部分は当社が担当するので、地域電気工事会社は自分たちが 得意とする施工部分に能力を集中できるため、高い生産性を実現することができます。